シス・カンパニー/Bunkamura Present
 騒音歌舞伎(ロックミュージカル) ボクの四谷怪談
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「お岩さんの怪談話」として、日本人の誰もが知っている『四谷怪談』。
1825年(文久8)に初演された鶴屋南北の手による歌舞伎の人気演目は、もとはと言えば、『仮名手本忠臣蔵』の「外伝」として書かれた世話物狂言で、現在に至るまで、形を変えながら繰り返し扱われてきた怪談話の定番です。日本人にとっては、もはやDNAに深く刻み込まれているとも言える身近な存在ですが、本公演の演出を務める
蜷川幸雄も、舞台では、1971年に現代人劇場、2001年にはシアターコクーンにて上演。映画でも、81年『魔性の夏・四谷怪談より』、'04年『嗤う伊右衛門』の2作を監督し、原作歌舞伎の中にある、「幽霊」の視覚的、感覚的だけではない普遍的な恐怖〜人間の業の醜さ、おぞましさ〜 を、現代性を帯びた究極の人間ドラマとして浮かび上がらせてきました。
その蜷川幸雄が、'70年代に偶然読む機会を得て以来、その記憶の奥深くに刻まれていた、もうひとつの『四谷怪談』がありました。
それが、作家・
橋本治が小説家としてデビューする前に執筆していたという、本作騒音歌舞伎(ロックミュージカル) ボクの四谷怪談』なのです。
執筆当時、ほんのわずかな人間の目に触れただけで、発表も上演もされなかった戯曲が、どのような経緯で蜷川の手元まで行きついたのかは、もはや当人たちにとっても永遠の謎・・・・・・。
 しかし、そんな「謎」や「約40年の眠り」をも打ち破り、
いよいよ幻の戯曲に"生命"が吹き込まれる時がやってきました!


時代は「昭和五十一年にして文政八年、さらに元禄十四年であり、
しかも南北朝時代」。 ところは東京都江戸市内。
長髪&Tシャツ&Gパン姿で職もない民谷伊右衛門(佐藤隆太)は、 当世人気の文化芸能人、伊藤喜兵衛(勝村政信)の早熟娘、お梅(谷村美月)に一目惚れされる。 伊右衛門にはお岩(尾上松也)という病身の妻がいるが、伊藤父娘はおかまいなしに伊右衛門を 口説きまくる。お岩の妹、お袖(栗山千明)には許嫁の佐藤与茂七(小出恵介)がいるが、主君の仇討 ちのため東奔西走する与茂七は滅多に顔を見せてくれない。
そんなお袖に恋い焦がれるのは、伊右衛門の友人で、何をやってもうまくいかない直助(勝地涼)だ。
元武士のプライドばかり高い義父の四谷左門(瑳川哲朗)、伊右衛門を妖しい眼差しで見つめる 腹違いの弟、次郎吉(三浦涼介)、口うるさい母親のお熊(麻実れい)など、伊右衛門の周囲は面倒 な身内ばかり。
やがて、妻のお岩の身に異変が起き──。


—民谷伊右衛門、お岩、与茂七、直助、お袖、お梅、次郎吉—。
怪談話でお馴染みの若者キャラクターたちは、目的(仇討ち)のために無軌道に突き進む者、目的を失い、己の現状への苛立ちを吐き出す術さえわからない者、時代や慣習に身を委ねながらも強かに世渡りする者など、その姿は実にさまざま。 めぐる因果の渦の中、彼らは時に滑稽で、時に無様な姿をさらしながらも生きて行こうともがきます。 「お江戸」であれ、「'70年代」であれ、「現代」であれ、時代に抗い、己の存在意義を探し求める「若者の生態」は、いつの時代もさほどの違いはないもの・・・・と感じさせる、そんな「若者のすべて」がここにはあるのです。それゆえ、亡霊に憑りつかれ苦しむ伊右衛門の姿は、今の私たちが閉塞感や焦燥感を振り払おうともがく姿にも重なり、「現代の若者たち」だけでなく、「かつて時代に抗う若者であった大人たち」の胸にも、切なく甘い痛みを伴いながら、痛烈に迫ってくるのではないでしょうか。 彼ら"七人の侍たち"の心情は、「桃尻語」で一世を風靡した橋本ならではのナチュラルでヴィヴィッドな歌詞で綴られ、「日本語ロック」の先駆:鈴木慶一のオリジナル・チューンに乗せて、強烈なインパクトで吐き出されます。
その叫びには猥雑なエネルギーが充満し、切実で禍々しいものなのに、徹底的に派手派手しくポップ!! 
日本のロックシーンやサブカルチャーに絶大な影響力を保ち続ける
鈴木慶一と、蜷川幸雄独自の美学が融合し、ロックが反逆の象徴であった'70年代と現代とをつなぎながら、リアルな時代性をもって、橋本治が描いた世界を浮き彫りにしていきます。

さて、注目のキャスト陣ですが、橋本によって「七人の侍」と名付けられた若者たち— 民谷伊右衛門、佐藤与茂七、直助、お袖、次郎吉、お梅、お岩 — には、蜷川演出舞台は初挑戦となる 佐藤隆太 が伊右衛門を演じる他、小出恵介、勝地涼、栗山千明 という蜷川経験組に加え、三浦涼介、谷村美月、尾上松也 という成長著しい若手たちが顔を揃えます。もちろん、 麻実れい、勝村政信、瑳川哲朗、青山達三、梅沢昌代、市川夏江、大石継太 をはじめとする蜷川チームでお馴染みのベテラン陣も、この破天荒な青春群像劇の屋台骨として活躍を見せてくれます。
軽妙で諧謔的でありながら、猥雑なエネルギーに満ちた「青春群像時代劇」に相応しい、充実の布陣です!

「挑み続ける演出家〜蜷川幸雄」にとっても、約40年前に心に刻みつけられた戯曲との再会は、また新たな意欲を掻き立てられる記念すべきステージとなることでしょう。

荒々しさと美しさを兼ね備えた青春群像劇騒音歌舞伎(ロックミュージカル) ボクの四谷怪談」にご期待ください。
これまで見たことも聞いたこともないような「四谷怪談」の世界に、皆様をお連れいたします。

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