シス・カンパニー公演 黒塚家の娘
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劇作家・北村想とシス・カンパニーが、日本文学へのリスペクトを込めたオリジナル戯曲を発表する人気シリーズ『日本文学シアター』。演劇ファンのみならず、日本文学を愛する皆さんからの声援を力に変え、これまで全3作を発表してきました。
2013年第1弾公演『グッドバイ』では太宰治、2015年第2弾『草枕』では夏目漱石、そして、2016年の第3弾『遊侠 沓掛時次郎』ではガラリと趣きを変え、大衆演劇の巨星:長谷川伸の “股旅モノ”をモチーフにしながら、そこに日本映画へのオマージュも込めた北村想のオリジナル戯曲を上演。寺十吾のノスタルジアを感じさせる演出の下、それそれが名作を骨格にしつつも、どこか胸がキュンとする甘酸っぱさと、瑞々しさに溢れた「大人のおとぎ話」が人気を呼びました。
近代日本文学と北村想独自の文体が融合し、新たな劇世界を提示してきた本シリーズは、当初、「段田安則主演による全3作で完結」を前提に立ち上がった企画でしたが、この劇作への取り組みは、演劇賞にも輝く高い評価と人気を獲得。観客の皆さんの温かい声に支えられ、この度、第4弾から、新たな俳優陣と共に、「日本文学シアター」は更なる高みを目指して、シリーズを継続することとなりました。
その新たなスタートとなる本作
『黒塚家の娘』は、これまでの出発点であった「近代日本文学」の枠を飛び超え、その創作のモチーフを、室町の世に幽玄の世界を謡いあげた「能の世界」へと求め、旅立ちます。

~~幽玄の世界から、北村想版ファンタジーホラーへ~~
極限まで削ぎ落とされた舞台空間で無限大の表現を可能にした能の世界。
その世界観に敬意と憧れを抱く北村想が、般若の面に人間の哀しさと恐ろしさを映し出す謡曲「黒塚」からインスピレーションを得て、斬新で軽やかなタッチで紡ぎ合わせたのが本作
『黒塚家の娘』です。
この物語の舞台は現代。ここには、モチーフである能「黒塚」で数珠を擦り合わせながら祈祷する山伏ならぬ、「聖書」の教えを説く「悩める若き牧師」が登場します。彼は、とある理由から傷心を抱え放浪の旅へと出たところ、霧深い森に迷い込んでしまいました。そして、森の奥で出会った謎めいた母娘が暮らす屋敷で一夜を過ごすことに・・・。休もうとする彼の前には、「開けてはならない」という禁忌の扉が!!
 そこに、後を追ってきた盲目の先輩牧師が現れて・・・。さて、森の奥には、どんな秘密が眠っていたのでしょう・・・。

出演は、舞台・映像での確かな演技力は勿論、リオ・パラリンピックでの見事なレポートぶりが絶賛された風間俊介昨年のシス・カンパニー公演『アルカディア』での少女役を始め、常に清冽でしなやかな存在感を示す趣里、舞台・ドラマ・CM、情報番組MCなど、幅広く活躍し、本シリーズには、第1弾『グッドバイ』以来の復帰となる高橋克実、そして、永遠の演劇少女・渡辺えり の4人。演出は、前3作から続き、寺十吾が続投。
それぞれ抜群の演技力と個性を誇る4人の俳優たちと充実のスタッフワークで、新たな世界へと挑みます。
「能」の知識がなくても、「聖書」に疎くても心配はご無用。奇々怪々なシチュエーションのはずなのに、なぜか可笑しささえ漂う独特の世界・・・。美しい言葉の森を彷徨ううちに、やがて物語は予想外の方向へ・・・。
「日本文学シアター」第4弾『黒塚家の娘』にご期待ください。
「能」とは、今から600年ほど前に、観阿弥、世阿弥父子によって完成された、日本が世界に誇る演劇です。
主に、神や武将、狂女や幽霊、鬼などが登場し、ほとんど何もない空間=能舞台で演じられます。登場人物らが謡う詞章(ししょう)や、鼓と笛のお囃子によって展開する、いわば歌舞劇なのです。一見シンプルな舞の形や、独特の声楽である謡の中に、独特の強烈なエネルギーを秘め、何もないはずの舞台には、見る者の心を通して、豊かな情景がありありと表現されてくる・・・、という比類なき舞台芸術なのです。
(世阿弥作の説もあるが、作者未詳が通説)
熊野那智の山伏・東光坊祐慶一行は、陸奥国安達ヶ原で、一人の老婆が住む寂しいあばら家に一夜の宿を 求めた。親切に一行を迎え入れた老婆は、自身の苦しい身の上を嘆きつつ、山伏に求められるままに、糸尽くしの歌を謡う。やがて、老婆は、自分の寝所を覗かないように言い残し、山伏たちのために薪を取りに出かけてしまう。しかし、随行の能力は我慢できず、山伏が止めるのも聞かず、ついに寝所を覗いてしまうが、そこには積み上げられた死体の山が・・・。 「安達ヶ原に棲む鬼女」の噂は、この老婆であったと知った山伏一行は逃げ出 すが、正体を知られた鬼女が凄まじい形相で山伏一行を追ってくる。山伏たちは、数珠を擦りながら力の限り祈祷を尽くし、ついには鬼女を調伏。鬼女は己の姿を恥じながら去っていく・・・。
現在の福島県二本松市の阿武隈川を渡ったところに「黒塚」があります。安達ヶ原と呼ばれたこのあたりでは、旅人を襲っては喰らい尽くしたという「鬼婆伝説」が長く残っています。 この伝説は、『拾遺和歌集』で平兼盛が詠んだ歌 「みちのくの 安達ヶ原の黒塚に、鬼こもれりといふはまことか」 で有名になり、民話として庶民にも伝承されるようになりました。そして、この伝説を基に、能では『黒塚』、長唄・歌舞伎舞踊では『安達ヶ原』、歌舞伎・浄瑠璃では『奥州安達原』という演目が生まれ、この伝説も幅広く知られるようになり、現代に至っています。
2012年にシス・カンパニーで北村想の名作「寿歌」を上演した際に、北村想とシス・カンパニー・プロデューサー北村との間で、立ち上がった新たな創作構想が発端。日本文学へのリスペクトを込め、名作戯曲や文学をモチーフに、新たなオリジナル戯曲を生みだそうという企画。和歌・連歌の手法に、古歌の語句や趣向を取り入れて新しい表現を用いて歌を詠む「本歌取り」という技法がありますが、まさに、戯曲・文学における現代の「本歌取り」だと高く評価されました。演出は、シリーズ通して、俳優でもある寺十吾(じつなし・さとる)が担当。
【1】 日本文学シアターVol.1【太宰治】 『グッドバイ』 
出演:段田安則・蒼井優・柄本佑・半海一晃・山崎ハコ・高橋克実
2013年11月29日(金)~12月28日(土)  シアタートラム

○太宰治の未完の絶筆『グッド・バイ』をモチーフに、段田安則と蒼井優の不思議なラブロマンスを中心に、軽妙な中に 透明感を湛えた「大人の青春物語」を発表。その年の最も優れた新作戯曲に贈られる戯曲賞「第17回鶴屋南北戯 曲賞」に輝いた。
【2】 日本文学シアターVol.2【夏目漱石】 『草枕』 
出演:段田安則・小泉今日子・春海四方・山田悠介・浅野和之
2015年 6月 5日(金)~ 7月 5日(日)  シアタートラム

○夏目漱石の初期の名作『草枕』を骨格に、漱石の小説の流れに、実在の原作モデルの女性から得たインスピレー ションを大胆に加味。段田安則、小泉今日子を配し、ヒロイン:小泉今日子にとって初めての演劇賞となった「第50 回紀伊國屋演劇賞個人賞」と「第23回読売演劇大賞優秀女優賞」をもたらした。
【3】 日本文学シアターVol.3【長谷川 伸】 『遊侠 沓掛時次郎』 
出演:段田安則・松澤一之・寺十吾・鈴木浩介・渡部秀・西尾まり・萩原みのり・戸田恵子・金内喜久夫
2016年 8月 27日(土)~ 10月 2日(日)  新国立劇場小劇場

○2016年発表の第3弾は、前2作とはガラリと異なり、大衆演劇の巨星:長谷川伸の人気作「沓掛時次郎」にアプローチ!
いわゆる“股旅モノ”の傑作をモチーフにした「遊侠 沓掛時次郎」は、段田安則、戸田恵子、鈴木浩介らが旅芸人一座 「長谷川團十郎一座」に扮し、劇中劇で演じる「沓掛時次郎」の義理と人情の世界と、現実の旅役者たちの舞台裏との 虚実がスリリングに交錯。心も湧き立つエンタテインメント要素にも彩られた「大人のおとぎ話」と人気を呼んだ。

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シス・カンパニー 03-5423-5906
(平日11:00~19:00)
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