シス・カンパニー公演 アット・ホーム・アット・ザ・ズー
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  アメリカを代表する劇作家エドワード・オルビーのデビュー作にして、代表作としても広く知られる『動物園物語 The Zoo Story』。この強烈な一幕劇ほど、多くの論議を巻き起こし、様々な考察が与えられてきた2人芝居はありません。戯曲発表から半世紀の長きに渡り、上演の度ごとに、まるで「新しい作品」のような鮮烈な印象を与えながら、その時代特有の空気やジレンマをあぶり出す、圧倒的なエネルギーを放ち続けてきました。そして、その削ぎ落とされた劇構造や速射砲のように繰り出されるセリフ術の革新性は、時代を超えて多くの演劇人を魅了。世界各国で上演が重ねられてきた演劇史上に輝く傑作です。

   
 『動物園に行ってきた! ねえ、動物園に行ってきたって言ったんだけど! 〜動物園物語〜 』
 ある夏の日曜の昼下がり。いつものように、セントラル・パークのベンチで読書を楽しんでいたピーターは、いきなり見知らぬ男にこう話しかけられる。
 「動物園で起こったことを話そう」としきり に繰り返すその男・ジェリー。
最初は曖昧に相槌を打っていたピーターだったが、一方的にしゃべり まくるジェリーに問われるまま、
家庭や仕事のことを話してしまう。
やがて次第に暴力的な激しさを増すジェリーの言動に、完全に巻き込まれていくピーター。
一瞬のはずだった2人の邂逅は、思いもよらぬ展開を生み、そして・・・。

 そんな完成度の高い戯曲に、ほぼ半世紀の時を隔てて、作者エドワード・オルビー自身が新たなアプローチを加えるとは、誰が想像したでしょうか?! しかも、ピーターとジェリーの「後日談」でも、いわゆる独立した「スピンオフ」でもない、「第1幕:ホームライフ(家庭生活)」が21世紀に入って書き下ろされるとは!
そして、既存の『動物園物語』がそのまま「第2幕」となる二幕物戯曲『ピーター&ジェリー』が完成。リーディングや地方での試演で練り上げられた後、2007年秋、オフ・ブロードウェイの限定公演で、その全貌が広く知られることとなりました。観客たちやメディアは、その二幕物戯曲としての完成度を賞賛すると同時に、何よりも、半世紀の時を経ても、益々貪欲に自作を突き詰める齢80の大作家の情熱、とりわけデビュー作『動物園物語』への愛着に驚きを隠せませんでした。その後、タイトルを『アット・ホーム・アット・ザ・ズー At Home At The Zoo』と改題。また、最近のメディアの報道では、この二幕物こそが「動物園物語」の完成された形というオルビーの見解が明らかになり、アマチュアや学生劇団を除く商業的なカンパニーには、今後、『動物園物語』単独上演は認めない旨の発言が紹介されました。
オルビーの生ける伝説が続く限り、彼の処女作への情熱とこだわりも伝説となっていきそうです。
 さて、その「第1幕:ホームライフ」は、セントラル・パークにほど近いアッパー・イースト・サイドのリビングルームで展開します。冒頭、ソファで読書するピーターに、『ねえ、話があるんだけど。』と話しかける妻アン。いつものように、心ここにあらずの受け答えを繰り返すピーターに、次第に、アンは挑発的で過激な話題を次々と投げかけ、夫婦の会話はあらぬ方向へ・・・。そして、ピーターは、いつもの日曜の午後のように、本を手に取り、運命のセントラル・パークへと家を後にし、『第2幕:動物園物語』へと導かれます。「第2幕」は半世紀前に書かれた台本の通りに全く姿を変えず、そのままピーターとジェリーの物語が展開しますが、観客に「第1幕」でのピーターとアン夫婦の会話の現場を目撃させることで、オルビーは「動物園物語」にどんな新しいアングルを示そうとしているのか、興味は尽きません。もちろん、初めて「動物園体験」をなさる方々も、そんな「歴史的問題作」の冠など関係なく、この濃密でスリリングな劇世界の奥深く、旅していただけると確信しています。

 私たちシス・カンパニーは、2006年上演『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』に続き、2度目のオルビー作品に取り組むことになりました。今回も、齢80を過ぎて一層深まる、自作への愛着とこだわりに、日々驚嘆し感銘を覚えながら準備を進めています。その情熱に応えるべく、映像でもなかなか見られない 
堤真一・小泉今日子・大森南朋 というキャスティングを実現させ、また、演出には、翻訳劇演出での評価も高い 俳優・演出家:千葉哲也 を迎えました。そして、翻訳は『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』に続き、徐 賀世子 が新訳を担当。この強力カンパニーで、オルビー伝説に再び挑みます。
 200席余りの空間で体験する、ある夏の日の物語。 そこに流れる"半世紀"という熟成の時間がシアタートラムに、かつてない刺激的な世界を現出させていきます。
 シス・カンパニー公演 エドワード・オルビー作「At Home At The Zoo〜アット・ホーム・アット・ザ・ズー」。
2010年初夏、シアタートラムに生まれる現代演劇界の新たな伝説に是非ご注目ください!

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シス・カンパニー (03)5423-5906
番号はお確かめの上、お間違えないようおかけください。