シス・カンパニー公演 2人の夫とわたしの事情
SIS company inc. のプロデュース作品のご紹介
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 自ら主宰の劇団ナイロン100℃のみならず、多くのプロデュース公演等でも精力的に活躍し、日本の演劇界を揺さぶり続ける鬼才ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下 KERA)。 そして、舞台、映像、音楽の世界をしなやかに行き交いながら、いずれのフィールドにおいても輝きを増している 松たか子。 常に、その動向が注目を浴びている演劇界のキーパーソン2人が、シス・カンパニー公演で待望の初顔合わせを果たします!
その舞台となるのは、20世紀を代表する英国の文豪
W・サマセット・モームが、第一次世界大戦後の1919年に発表した「2人の夫とわたしの事情」という戯曲。 日本では、教科書にも紹介されている「人間の絆」、「月と6ペンス」などの小説でよく知られ、文豪のイメージも強いモームとKERAとの組み合わせ。一見、意外な印象を受ける方も多いかもしれません。でも、小説のみならず評論や多くの戯曲で発揮されている、モームの鋭い人間観察眼や巧みに社会風刺を描出するシニカルなタッチを一度知れば、この出会いは「必然」に導かれたもの、と頷かれるのではないでしょうか。
 原題を「
HOME[故国] []BEAUTY[美女] 」というこの戯曲の設定は、まだまだヴィクトリア朝時代の厳粛な価値感が色濃い20世紀初頭の英国のある上流家庭。 第一次世界大戦終結後、愛する夫を戦争で失い、戦争未亡人となったヒロインは、夫の親友の求愛を受け、めでたく再婚を果たします。 しかし、あろうことか、そこに、戦死したはずの"前" 夫が、ひょっこり帰還! 苦労して帰国したと思ったら、自分は死んだことになっていて、しかも親友が自分の後釜に!? "2人の夫"を前に呆然とする美しきヒロイン。 まさに、戦争に翻弄された "けなげな妻"と "2人の夫たち" の涙なくしては語れない大悲劇・・・・・・なのかと思いきや、英国紳士たるべく自己犠牲の精神をフルに発揮して、「自分こそが身を引くべきだ」と、なぜか積極的に主張し合う"2人の夫たち"。そして、"けなげ美女"であるはずのヒロインも、実は、天真爛漫というか天衣無縫というか、結局のところは、「世界は自分のために回っている」と心の底から信じて疑わないタイプ。当然、愛情なんて言葉だけでは計れない様々な欲望やキワドイ思惑が絡まり合っている模様で、事態は組んず解ぐれつ、予想外の展開へ! 果たして、この「重婚狂騒曲」のフィナーレで、真の幸福をつかむのはどちらのカップルなのか・・・?!約90年前の英国社会が舞台の作品であるはずなのに、なぜか台詞のひとつひとつが、ググッと身近なものに感じられる作品です。
 今回の上演に際しての翻訳は、KERAが翻訳戯曲に初挑戦した2006年弊社公演「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」(エドワード・オルビー作)でもタッグを組み、夫婦心理のダークサイドをヴィヴィッドな言語感覚でえぐり出した
徐 賀世子が新訳を担当。そこに、KERAが、自身の文体を巧みに加味した上演台本を書き上げ、演出に挑みます。期せずして、「ヴァージニア・・・」と本作は、「結婚と夫婦」を扱った作品となりましたが、「ヴァージニア・・・」が、激しい応酬の中に夫婦間の複雑な心理を描いたのに対し、「2人の夫・・・」は、シニカルながらも男女の軽妙な会話で展開していくコメディ。全く対照的な作風ながら、同じテーマを表と裏それぞれの側面からどのように攻めていくのか・・・・、そんなKERA演出アプローチへの興味も俄然膨らみます。
 出演は、昨年、ミュージカル「ジェーン・エア」や映画「ヴィヨンの妻」での真摯なヒロイン役でファンの心を奪った
松たか子が、"天真爛漫"なだけなのか、超!上から目線の"自己チュウ妻"なのか、不思議な魅力で男たちを振り回すヒロイン:ヴィクトリアを演じます。そして、死んだはずの最初の夫:ウィリアムに、KERA演出「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」で2006年読売演劇大賞グランプリや朝日舞台芸術賞を獲得した 段田 安則、 ウィリアムの親友にしてヴィクトリアの2人目の夫:フレデリックには、今や文学座の中心俳優として活躍し、天賦のコメディの才を感じさせる 渡辺 徹 が扮し、この不可思議なトライアングル・バトルを展開していきます。また、名前のラインアップを見ただけでニヤリとしてしまう期待度満点の共演陣も充実の顔ぶれ。まず、久々のオリジナル自 由劇場メンバーによる「上海バンスキング」が熱い注目を集めている 大森 博史 を筆頭に、「大人計画」での活躍と共に、「グループ魂」の<港カヲル>の顔をもつ皆川 猿時、 常に強烈な存在感を記憶に残す 水野 あや。  そして、池谷のぶえ西尾 まり皆戸 麻衣(ナイロン100℃所属) のKERAワールドを良く知るメンバーが加わり、圧巻は、文学座の重鎮:新橋 耐子 の登板! まさに、何を仕掛けてくるのか目が離せない顔ぶれが揃いました。

「洗練された品格」や「階級社会のメンツ」を重んじた20世紀初頭の上流社会を、喜劇として徹底的に笑い 飛ばそうとしたモーム戯曲のシニシズムと
ケラリーノ・サンドロヴィッチの出会いが生み出す新たな世界。
「婚活(コンカツ)」ブームの現代に、KERAと充実のキャスト陣で贈る、シス・カンパニー公演「2人の夫とわたしの 事情」に、是非ご期待ください!

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シス・カンパニー (03)5423-5906
番号はお確かめの上、お間違えないようおかけください。