2006年、舞台『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』等の演技で、同年の主要な演劇賞を席巻。その実力を鮮やかに印象づけた俳優:段田安則。その卓越した表現力で、舞台のみならず、映像分野でも高い人気を誇る彼が、この度、初めて舞台演出を手がけることになりました。満を持して取り組むのは、英国の小説家・劇作家:J・B・プリーストリーが、1946年に発表した戯曲「インスペクター・コールズ」(An Inspector Calls)を、劇作家・内村直也が設定を「戦後の日本」に置き換えた翻案作品『夜の来訪者』です。
この翻案版は、英国での評判を日本に紹介した内村氏が、その記事に興味をもった俳優座に、日本を舞台に置き換え上演することを提案し、誕生しました。その初演が1951年ですから、原作も翻案版も、それぞれの初演からすでに半世紀以上の月日が経過しています。しかし、この作品は、国や時代設定、上演時の社会情勢の違いに左右されることなく、常に観客をスリリングな世界に誘い、新たなファンを獲得し続けてきました。
これほどの長きに渡り、ミステリアスなストーリー展開の鮮度を失わず、多くの演劇ファンを惹きつけてやまない理由は、何と言っても、そのリアルタイムで目の前に展開するサスペンスフルで緻密な構成にあると言えます。観客は客席にいながら、まるで推理小説のページを夢中で読み進むかのような臨場感を覚え、時には登場人物と共に、あれこれと考えを巡らし、謎を検証し、そして、最後に息をのむようなカタルシスへと導かれます。
しかし、それが単なる謎解きゲームだけに終わらないのは、物語の進行に従って、登場人物それぞれが次第に思いもよらない真実を露呈していく姿に、「人間の業」や「社会の欺瞞」が巧みに描き出されているからではないでしょうか。
今回、このスリリングなドラマを展開する顔ぶれには、岡本健一、坂井真紀、
八嶋智人、高橋克実、梅沢昌代、渡辺えり という実力・人気ともに充実の顔ぶれが勢ぞろいしました。そして、演出を手がける 段田安則 演ずる「警官」が登場!
“ひと癖もふた癖もある一家“と共に、究極の人間心理のドラマを立体的に際立たせ、なお且つ、最高のエンタテインメント作品に創り上げていきます。
シス・カンパニー、2009年第1弾公演は、紀伊國屋ホールをスリリングな劇空間に
変容させていきます。
是非、この作品の【目撃者】として客席へどうぞ!
段田安則 初演出でお届けする『夜の来訪者』にご期待ください!