シス・カンパニー公演 その妹
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   自分の人生に避けがたい不幸が襲いかかるとは、誰にも予想はできません。まして、才能にあふれ、前途洋洋たる未来を信じていた人間が、不慮の災難によって、一転して苛酷な人生にその身を置かざるをえなくなったとしたら・・・・。
その絶望や例えようもない苦しみを背負いながら、人はどのように生きていくのでしょうか。
そして、目の前で絶望や苦しみを抱えている人に、人はどうやって寄り添っていくのでしょう・・・。
今から100年ほど前の1915年、かの「白樺派」の中心人物・武者小路実篤は、その命題を戯曲「その妹」に託しました。この「白樺派」文学は、後に「大正デモクラシー」と呼称される、自由で民主的な時代の空気を背景に、人間のあるがままの姿を肯定し賛美する理想主義的な芸術思潮で時代をリードしていました。何よりも当時の若い作家たちが日常で使っていた話し言葉で心情を綴る作風は、従来にはないリアルな息吹を作品に吹き込み、その後の文学に大きな影響を及ぼしたと言われています。しかし、ともすれば、その理想主義がゆえに、「現実」とは相容れない「甘さ」も批判の的となっていたのも事実。 そんな作品群の中でも、現実の厳しさを真っ向から見据えた設定で、異色の輝きを放っていたのが、「その妹」という戯曲でした。


この戯曲誕生の時代背景は、1914年勃発の第一次世界大戦です。 ほぼ同時に資本主義経済が、従来の階級制度に、金権による新たな強権階級を生み出した時代でした。その中で、多くの善良な人々が、戦争や金権社会が生み出す貧困による悲惨な境遇に陥る現実に出会い、それを乗り越えようとする彼らの生き様を描こうとしたのが、この戯曲「その妹」だったと言われています。苦しい境遇の中で試される「人間の本来の真価」を問いかけながら、武者小路実篤は、この善良な人々を、「なんとか救える道はないか」と問いかけながら執筆したと言われています。その武者小路実篤の苦悩や哀しみ、そして、理不尽な運命に抗えぬ現実との葛藤や無力感は、今の私たちの心の中でくすぶり続ける問いかけにも通じるように感じられ、この作品がもつ「永遠の命題」が、現代の私たちに提示されているかのように思えます。

出演は、次々と襲いかかる試練に葛藤する盲目の兄・広次に、歌舞伎のみならず、幅広い表現世界での活躍も著しい 市川亀治郎、そして、その兄に献身的な愛情を注ぐ妹・静子には、シス・カンパニー公演『楽屋』、NODA・MAP『南へ』の演技で、舞台女優としての稀有な才能を強烈に印象づけた 
蒼井優 が登場。待望の舞台初共演を果たします。
そして、この兄妹の運命に次第に吸い寄せられていく編集者・西島に 
段田安則、そんな夫の姿に心を乱される西島の妻・芳子に 秋山菜津子 を配し、鈴木浩介水野あや内田亜希子西尾まり と共に、白樺派の名作戯曲に挑みます。 演出は、俳優・脚本家としても活躍する 河原雅彦 が担当。ときに煽情的とも思える演技体とはイメージを異にし、2006年シス・カンパニー公演『父帰る/屋上の狂人』(菊池寛作)では、時代を超えた日本人の普遍的な心情を細やかに表現。第14回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞したその手腕を、再び近代日本を舞台にした本作で揮います。

 苛酷な現実への無力感に打ちのめされたとしても、人は人を思い案じながら、そして、何かを求め生きていく・・・・。
 その姿に武者小路実篤が託した思いを、魅力あふれる顔ぶれで描く 
『その妹』 に、是非ご期待ください。
 
 

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