ソ連から移住したペルシャ系の父とハンガリー移民の母というユダヤ人夫妻のもとに、フランス・パリで誕生。現在もパリ在住。パリ第10大学(通称ナンテール大学:因みにサルコジ現フランス大統領も同大学出身でハンガリー移民2世)で、演劇と社会学を専攻。後に、ジャック・ルコック・ドラマスクールでも学ぶ。卒業後、女優として、その演劇キャリアをスタート。
モリエール、マリヴォーなどの古典劇から現代劇まで多くの舞台を踏む。その後、1987年に初の戯曲「Conversations apres un enterrenment−埋葬後の会話」を発表。この処女作で、いきなりフランス演劇界の最高賞であるモリエール賞最優秀劇作家賞を受賞。翌年、カフカ作「変身」(主演:ロマン・ポランスキー/演出:スティーヴン・バーコフ)のフランス上演版の翻訳を担当し、モリエール賞翻訳部門にノミネート。第2作目の戯曲「La Traversee de l'hiver−冬を越えて」 で1989年モリエール賞最優秀フリンジ作品賞を受賞し、フランス演劇界の新世代を代表する作家と広く認知されることとなった。
 その評価と人気が世界的に高まったのは、1994年初演「ART−アート」である。真っ白なキャンバスに真っ白な線だけが引かれただけの"アート"をめぐる男3人のシニカルかつ爆笑を誘う会話劇で、2度目のモリエール賞最優秀劇作家賞に輝き、英国ウエスト・エンドに初めて進出した英語版
(翻訳:クリストファー・ハンプトン)は、1997年ローレンス・オリヴィエ賞最優秀コメディ賞を受賞。続いて迎えられた米国ブロードウェイで上演版は、演劇界のアカデミー賞にも匹敵するトニー賞最優秀作品賞に輝き、瞬く間に世界の演劇界の頂点に上りつめ、この若くエキゾチックな容姿をもつ美しき受賞者は、一躍注目の的となった。この「アート」は現在に至るまで35言語以上に翻訳され、今も全世界中で上演され続けている人気作品である。
 以後、「L'homme du hasard−偶然の男」(1995)、女優としても出演した「Trois versions de la vie−Life×3 人生の3つのヴァージョン」(2000)、「Une piece espagnole−スペインの芝居」(2004)、そして、本作「Le Dieu du carnage」(英語版タイトル: God of carnage)とその快進撃は続いている。また、劇作以外でも、1997年より発表している小説も数多く、高い評価を受けているが、2007年には、サルコジ大統領の選挙キャンペーンに1年間密着して書き上げたエッセイ風ルポルタージュ「L'Aube le soir ou la nuit―夜明け、夕暮れ、または夜」を発表。 権力を目指す男の懐に飛び込んだ斬新なドキュメントは、世界的ベストセラーとなった。また、2010年3月にフランスで公開された映画「CHICAS」では、自身の戯曲「スペインの芝居」を脚色。映画監督としてのデビューを果たしている。
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