シス・カンパニー公演 叔母との旅
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こちらは2010年上演版の概要です。

再演2012年8月上演版の情報はこちらからどうぞ



  英国の小説家グレアム・グリーンの名前にピンと来ない人でも、映画『第三の男』ならご存知の方々も多いのではないでしょうか。その『第三の男』を筆頭に、『落ちた偶像』、『スタンブール特急』、『情事の終わり』(1999年公開のレイフ・ファインズ主 演映画の邦題は『ことの終わり』)、『ハバナの男』に代表されるように、映像化された作品本数の多さにも驚かされる作家です。
もっとも、映像化を前提として執筆されたものも多かったようですが、自身のカトリック信仰に根ざした倫理や道徳観をあぶり出した作品、過去にスパイ活動に従事した経験を彷彿させるエンタテインメント性に満ちた小説、そして、児童書から旅行記に至るまで、その作品傾向は、多岐に渡ります。しかし、そこに共通しているのは、どこかにミステリアスな要素を秘めたスリリングなストーリー展開の巧みさ! 読む者たちは、虚構であるはずの世界にグイグイと引き込まれ、登場人物たちの息づかいが間近に迫ってくるような臨場感に巻き込まれてしまう・・・。 それが多くのクリエーターたちの映像化意欲を刺激してきた最大の魅力なのかもしれません。
さて、この度、私どもシス・カンパニーは、グレアム・グリーンが1969年に発表した小説『叔母との旅 Travels with my aunt』に取り組むことになりました。 この小説は、英国の閉鎖的な社会からはみ出した"ぶっ飛んだ叔母"と"実直な甥"がたどるナゾと冒険に満ちた奇想天外な、いわば"自分探しの旅物語"と言えます。 叔母オーガスタは、すでに70代後半でありながら彼女を愛してやまない若い恋人もいて、その生き方は自由奔放そのもの。一方のヘンリーは、30年勤め上げた銀行を定年退職した独身男。2人は、86歳で他界したヘンリーの母親の葬儀で50年ぶりの再会を果たし、ひょんなことから最初は英国の保養地ブライトンへの小旅行。そして誘われるままに、パリからオリエント急行に乗って、スイス、イタリア、イスタンブールへと出かけることになり、ついには、南米アルゼンチンからパラグアイへ・・・。まるでドン・キホーテとサンチョ・パンサのようなデコボコな2人旅を繰り広げ、その顛末が、主に、生真面目な主人公ヘンリーの「語り」によって綴られていきます。
2人旅の途中で叔母が語る昔話は、途方もないものばかりで、いかがわしい犯罪の匂いさえ漂います。真実なのか、妄想なのか・・・・。当惑しながらも、常識やモラルにとらわれない叔母の生き方に巻き込まれていく常識人ヘンリー。そんな彼の心の変遷が、ユーモアとアイロニーたっぷりに、秘めたロマンスもからめながら語られていくのです。やがて、これまで庭のダリアだけに愛を注いできた平凡な男ヘンリーの人生は、次第に新たな輝きを放ち始め、そして、自己の真実に向き合う旅のクライマックスへ・・・・。 まさしく、グレアム・グリーン作品の醍醐味が凝縮された物語なのです。
小説では登場人物も多く、叔母が語り聞かせる思い出話の時代背景も実にさまざま。 舞台設定も、ロードムービーのような壮大な走行距離で、英国から南米まで行きつ戻りつクルクル変わります。そんな時空を自在に飛び交う原作のスピード感そのままに、英国の劇作家であり俳優でもあったジャイルズ・ハヴァガルが、4人の男優だけで表現する斬新な戯曲に仕上げたのが本作です。このハヴァガル・ヴァージョンは、日本では1995年に、安西徹雄翻訳・演出、橋爪功、有川博、勝部演之、吉見一豊の「演劇集団円」が誇る4人のベテラン男優陣によって上演され絶賛を博しました。 舞台版の最大の特徴は、老若男女20役以上ものキャラクターを4人の男優だけで演じ分ける大胆な手法です。 「語り手」である主人公ヘンリーでさえ複数の男優によって演じられ、会話の途中でありながら、一人の役者が瞬時のうちに複数の役を演じ分けていきます。衣装替えの時間など到底想像つかないほどの疾走感で舞台は展開し、その遠心力に振り飛ばされないように、生身の役者の「存在」と「身体表現」、「語り」だけで、そこがどこなのか、誰が何を語っているのかを観客に伝えなければなりません。まさに選ばれし真の実力派俳優のみでしか成し得ない劇世界と言えるでしょう。今回の上演では、初演で絶賛を博した橋爪功らの先輩俳優陣を敬愛してやまない次世代男優4人――
段田安則、浅野和之、高橋克実、鈴木浩介―が、この刺激的な戯曲に挑みます。また、演出は、主宰劇団カムカムミニキーナで、時空間を操る独自の世界観に定評ある松村 武が担当。翻訳は、小田島恒志が新訳を施し、英国的なユーモアとアイロニーに満ちた語り口で、深く鋭い人間洞察を浮き彫りにしていきます。

全方位に客席がある青山円形劇場では、お客様の想像力も重要な登場人物となります。ここに足を踏み入れ、劇空間に身をゆだねることで、客席にいながらにして、世界中を巡るスリリングな"自分探しの旅"が体感できるはず。4人の俳優たちと共に、生の演劇ならではの醍醐味を、たっぷりとお楽しみいただけるものと確信しています。
シス・カンパニー公演
 『叔母との旅 Travels with my aunt』 にご期待ください。

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シス・カンパニー (03)5423-5906
番号はお確かめの上、お間違えないようおかけください。